二流社会人のメモ帳

興味のあることを徒然なるままに独りごちる。

映画の感想:『秋のソナタ』

早稲田松竹にてイングマール・ベルイマン特集。本当は『第七の封印』とかも見たかったのだが、そちらは3日間だけの上映だったこともあり予定が合わなかった。

そういうわけで、『冬の光』『秋のソナタ』の2本を見てきた。まず『冬の光』の方だが、途中でうたた寝してしまった。というのも、『処女の泉』を始めとした「神の沈黙」をテーマとした作品だったのだが、序盤で物語の展開がわかってしまったからである。

このテーマは遠藤周作などでそれなりに触れてきたこともあり、シナリオが淡泊に見えてしまった。もしこの作品をずっと前に見ていたら感銘を受けたのかもしれないが、残念ながらそうではなかった。丁寧な描写はすごく「らしさ」があって、やはり良いなあと感じたが、作品どうこうではなく個人的に「神の沈黙」というテーマはお腹いっぱいだったのである。

むしろ二本目の『秋のソナタ』が秀作だった。主な登場人物は4人だけで、娘と母の対話が映画のほとんどを占めている。脚本自体も捻りは少ない。だが、いやだからこそ丁寧な描写と娘(リヴ・ウルマン)と母(イングリッド・バーグマン)の演技力が光った。「目は口ほどにものをいう」とは、正にこのことである。文学作品にもできそうな物語だったが、彼女たちの演技は間違いなく「映画だからこそできる表現」であって、一つ一つの所作が100の言葉よりも心情を上手く表していた。母が口を言いあぐねて口をパクパクさせる所や、娘が何度も口を両手で覆う所、ワインの飲み方などなど・・・。数え上げたらキリがない程、全ての動作に意図があった。(もちろん台詞回しも素晴らしかった。)

演技の臨場感や映像の撮り方など、映画よりも演劇に近い作品だなぁと感じた。

 

あと単純に、こういうえエグい感じの話が個人的に好きということもある。ただ酔いに任せて今までの恨みつらみを語るだけなのだが、その言葉たちがまたリアルなのだ。自分が親だったらこれはエグられるなー。

とか思っていたら、最後の方のシーンで娘の下を去った母が、列車でマネージャーに対して(というよりかは、独り言のように?)「早く死ねばいいのに(下の娘に対して)」とサラッと言っちゃうあたり!直接の対話のシーンではないが、ある意味でここが一番エグかった。てっきり悔恨に襲われて反省しているのかと思いきや、そんな色は全くなし。なんだかコメディーのようですらある。まあ一応、自らの罪に対する自覚はあるようだが。(それをどう捉えるかは別として)

 

派手さはないけど中盤辺りからはヒリヒリしっぱなしで、とびきり素晴らしい作品でした。