メモ帳

千葉の田舎で生まれ、東京の出版社で働いている20代。ノンフィクションを中心に、読んだ本や観た映画についてのメモ代わりに書いています。

映画の感想:ナイトクローラー

3ヶ月くらい前に観に行った作品。たしかヒューマントラスト渋谷辺りだったような。

激化する報道レースの最前線に立つパパラッチ界を扱った映画で、結論から言うとメチャクチャ面白かった。

すごくざっくり例えるなら『ウルフオブウォールストリート』をサスペンスっぽく暗くした感じ。コメディ要素はないけど、ハラハラはする。ジャンキーな感じが好きな人はハマるはず。

 

この映画はエンターテイメントとしても傑作だったが(特に終盤の展開)、なおかつ「ネット世代」に対する批評性も持ち合わせている点が素晴らしかったと思う。娯楽性と批評性の両立って本当に難しいだろうからね。

特に主演のジェイク・ジレンホールの「ちょっとウザイ感じ」(人を小馬鹿にした態度やすぐ調子に乗る所、事の重大さを感知できない所などの諸々)が、いかにもネット世代(の、しかも勝ち組)を象徴していて面白かった。このキャラクター設定は本当に良くできている。

ネットとテレビがメインだが、メディア批判(ステレオタイプ的な嫌いはあるが)の要素も入っているので関係者は心に刺さるんじゃないかなー。もちろん、根本にあるのは社会そのものの歪みであるという視点も忘れてはいなかったけど。

 

社会批判という視点で捉えると正直そこまでの批評性はないが、ネット世代の象徴化という点ではかなり成功しているように思える。そして、それをネット世代自身が見ても「面白い」を思えるエンターテイメントに仕上げているのが秀逸。(おそらく正確には娯楽性⇒批評性という優先順位だろうけれど)