メモ帳

千葉の田舎で生まれ、東京の出版社で働いている20代。ノンフィクションを中心に、読んだ本や観た映画についてのメモ代わりに書いています。

フットボール観戦記:マンチェスター・シティvsセビージャ

3,4節はグループ全体の行方を占う試合が多く組まれている。「死の組」でおそらく2位争いをするだろうクラブの直接対決。

ほぼ互角の戦い。もう少しシティが押し込んでセビージャがカウンターって感じかなと思っていたのだが…。アグエロ&シルバの飛車角落ちとはいえ、もう少しやってくれないと。

セビージャが試合の入りから好プレイを見せていたコンプリャンカのゴールで先制。崩しの局面でもセットプレーでも、得点の予感が大分あったからね。ヴィトロのマイナスの折り返しが光っていた。

一方シティも、ヤヤのPA内での突破の流れから最後はラミのOGで同点。ヤヤという「個」の力につきる。

その後は両者がっぷり四つの組合い…なのだが、どうもシティはいつもの破壊力に陰りが見える。プレミアのザル守備とCLじゃわけが違うのはわかっているはずなのだが。

 

セビージャの攻撃はサイドがメイン。シンプルだけどドリブルとパス、クロスと選択肢が豊富で絡む選手も多いから、シティとしては迂闊にボールを取りに行けない。コノプリャンカのアルシャビンっぽさ。特に、左サイドのボールタッチにそれが感じられる。

ガメイロがPAの角辺りに流れるのは、オタメンディとのミスマッチをつくるため。普通に縦のクサビを入れても、オタメンディ(&マンガラ)は最強の「潰し屋」だから勝ち目は薄い。そこで、横に流れてアジリティで勝負したいのだろう。

セビージャはシティが前プレ来ないことにより、困ったら後ろで落ち着いてポゼッションを回復できる。これにより、かなり試合がやりやすかったと思う。

まあ、シティは前線からのプレスが上手くないからな。そもそも、そういうプレイをする試合がほぼないから、慣れていない。昨シーズンもバルサ戦でそれをやろうとして、中途半端に終わっている。「プレミア仕様」以外に、戦い方の幅を持っていないのだ。一つの戦い方しかできないことは、CLレベルでは本当に致命的なんだけどなあ。ペジェグリーニにそれを改善する気はないようで。(ある意味、ベンゲル以上の理想主義者である。)
アーセナルがコクランに頼っているように、シティもフェルナンジーニョに中盤のフィルターを一任している。(それでいて攻撃にも顔を出せるなんてバケモノ!)
でもいい加減、全体での守備戦術を覚えないと欧州では勝てないよ。

また、攻撃面で気になるのは、2列目のデブライネとスターリングのスタートポジション。(左と中央)、入れ替わった方が良いのでは?カウンターでスターリングのパスからデブライネのシュート、というシーンがあったが、これは本来の役割とは反対だと思う。

アグエロ&シルバがいないシティは、段々とデブライネにボールを集めるようになる。確かにこのメンバーの中で最もポイントフォワード的な役割ができるのは、デブライネだろう。シンプルで効果的なプレイが多く、ヤヤと彼のコンビネーションからは崩しの匂いが漂う。

一方、スターリングとボニーは消えてしまっている。デブライネという「起点」を作るために彼を左に置くのはありだが、全体の連動を考えるとやはりスターリングとポジションを入れ替えた方が。。。デブライネとシルバのプレースタイルは確かに異なるが、彼にはまた違った「シルバロール」ができるはず。「間受け」のポジショニングができるのがシルバを除くと彼くらいだし。

スターリングはもらってからの反転は速いのだが、そもそものボールをもらう動きが上手くない。まだまだサイドプレイヤーのそれである。それもあって、後半は完全に消えていた。

策としてはスターリングを左サイドに置き、ヤヤ&デブライネが縦横無尽に動くことにより左側で数的優位を作りたい。(本来ならアグエロもここに絡むのだが。ボニーにその動きは難しい)
また、そうするなら左SBはコラロフの方がベター。サニャだと攻撃力が落ちるし、何より右足に持ち直してからのプレイになる(左足だと精度が大分落ちる)からテンポが悪い。

と思っていたら、サバレタoutコラロフin。さらに、スターリングとデブライネの位置も入れ替え。これでスターリングに本来の輝きが戻り、シティにリズムが生まれる。やはり左のスターリングーコラロフの縦関係がシティにとっては重要である。

さらにさらにボニーoutフェルナンドin。ペジェグリーニはついにボニーに見切りをつけたか?まあ今日の出来を見ればねえ。 ユベントス戦を含め、調子うんぬんではなくクオリティに問題があると言わざるを得ない。来年あたりには、プレミア中位にクラブに放出されてるんじゃないかな。

これでシティはヤヤがトップ下でデブライネの0トップ。まあボニーを引きずるよりかは、ぶっつけでもこの布陣の方が可能性はある。


で、このまま引き分けかなと思っていた後半ロスタイム、カウンター合戦からシティがデブライネのゴールで逆転。ここもヤヤ、デブライネという「個」の力でもぎ取った。

そのままタイムアップでシティが勝利。

 

セビージャとしては正直内容で上回っていただけに、もったいなさすぎる!アウェイだし勝ち点でも並んでいるのだから、無理して攻める必要はなかったはず。最後に欲が出て前がかりになった所をやられた。なまじ自分たちが良い試合をしていただけに、シティの怖さを過小評価してしまったのかもしれない。あれだけ簡単にPA内まで運ばれたら、そりゃあゴール決められても仕方ない。向こうにはウン十億の選手ばかりなわけで。


エメリは75分過ぎてからのゲームコントロールを誤った。結果論と言われるかもしれないが、相手の強さと勝ち点の状況、自軍の疲れなど様々なファクターを考慮すると、あの戦い方は導き出されないはずだ。冷静狡猾なセビージャというチーム、エメリという監督だからこそ大人の対応を見せてほしかった。

(確かに今日の内容なら勝ち越せた可能性もあるが、それなら終盤に動きの落ちていたガメイロを下げてジョレンテを投入するべきだった。)

本当に、悔やんでも悔やみきれない敗戦。デブライネの左足がグループの雌雄を決する1点になったかもしれない。

 

結局、内容が冴えなかった方が「個」の力で2点を辛うじてもぎ取った。前節のバルサvsレーバークーゼンを思い出してしまう展開。これが良くも悪くもフットボールというスポーツだし、近年は特にそれが顕著である。

 

 

追記:クリホビアクのインテリヤクザ感。あと、実況も間違えていたけど、コノプリャンカとガメイロが似ている。笑