【美術展見聞録】谷崎潤一郎文学の着物を見る+『細雪』の感想
会場内は思ったよりもにぎわっていて、着物をみにつけた奥様方が多かったのが印象的だった。ここを訪れた後に『細雪』を読んだので、作品への満足度は上がった。
ついでに竹久夢二の方も見れて満足。内藤ルネや水森亜土など20世紀の日本を代表するイラストレーターの流れを知ることが出来て良かった。あまり詳しくない分野だけになおさら。
※『細雪』の簡単な感想
文章が丁寧で美しい。中で出てくる手紙や歌の読みやすさたるや。優美で清らかで、無駄がない。美しいものを追い求めたら必然的に機能的になったのだろう。(機能⇒美という順番の場合が多いが、個人的に谷崎は逆の道をたどったのだと思う。)
中身に対して突っ込むと、雪子のような人間は僕には無理だ。ああした美しさは俺には耐えられない。妙子のような妖婦型の方がよほどマシである。
物語の最後における(妙子が流産するのはまあ当然の流れだが)雪子の下痢は彼女の人生の「しょうもなさ」を表した、ある種の谷崎の皮肉ではないかと考える。きっと違うけれど、僕は勝手にそう思い込んでいる。