二流社会人のメモ帳

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映画の感想:6才のボクが、大人になるまで

まず、12年間撮影し続ける根気がスゴイ。この方法論的な所だけでも、メディア芸術祭の映像部門に出せそう。同じような撮り方として思いつくのは、ハリポタとか?あれはまあ、期せずして結果的にそうなっているんだが。

 

で、ストーリーは普通。良くも悪くも。というか、どんな人間にも12年間、しかも多感な6才~18才の間には色んなドラマがあるわけで。「普通に」友達や恋人が出来たり、喧嘩したり、悩んだりetc。

特別なヒネリがあるわけではないけれど、ヒューマンドラマとしてはなかなか上質だと思う。年齢の経過とあわせて、それを象徴するようなエピソードを入れている感じ。パーティーだとか、祖父に銃をもらったりだとか。

手法を抜きにして、映画そのもののクオリティとしても結構良かった。

主人公がちょうどいま18才として、±5才くらいの人は共感できる部分がスゴイ多いと思う。

 

で、この映画の最も面白い所は、「時代」を感じさせる演出。特に、映画中に出てくる「固有名詞」に注目してほしい。時代の象徴ともいえるコンテンツや人が必ず出てくる。主人公が6才の時はドラゴンボールを見ているし、15才くらいになるとサマンサ(姉)がレディ・ガガについて話すシーンがあったりする。ガジェット系も時代に合わせて進化している。前までたまごっちみたいなおもちゃで遊んでいたのが、少し大きくなるとXboxやってたり。

他にも、その時流行っていたものやライフスタイルみたいなものが随所に出てくるあたりが、12年間撮影し続けたことを自然と物語っている。逆に、サザエさんみたいな作品に固有名詞って全く出てこないしね。だからこの映画は、フィクションの物語世界ではなく、「本当にアメリカのどこかでありえたかもしれない家族の話」を作ってみたプロジェクトだと言える。

 

あとはまあ、音楽も同じことが言えるかも。流れている音楽は主人公の時代を、話の中で出てくる音楽は親父の時代を表しているかと。特に後者は、親父が主人公に自作のビートルズのアルバムをプレゼントするシーンが象徴。時代を超えて受け継がれる遺産みたいな。

あと単純に流れている音楽の選曲センスが良いと思う。マイナーすぎず、かといってマイリー・サイラスとかジェイ・Zではない。主人公(と同じような人たち)がちょうどその頃好きだったであろう音楽が流れる。流石はスクールオブロックの監督。テレビドラマの「Glee」で、親世代にとっての「懐メロ」が流されることが大ヒットに拍車をかけているって話を聞いたんだけど、それの若者verとも言える。まだ若くても、18才でも自分の歴史、物語はあるわけだからね。

 

まとまりがないけどそんな感じ。変にヒネってるわけではないけど随所に演出の工夫があって、とても良質な映像作品だった。アメリカで多くの同世代が「これは私の物語だ」と感じたのだと思う。