メモ帳

千葉の田舎で生まれ、東京の出版社で働いている20代。ノンフィクションを中心に、読んだ本や観た映画についてのメモ代わりに書いています。

フットボール観戦記:チリvsウルグアイ


チリvsウルグアイ。開催国vs前回王者。準々決勝一番の好カード。

チリにとっては最悪の組み合わせ。ウルグアイほど「厄介な」相手はいない。組合せに恵まれたグループリーグの相手とはモノが違う。

チリとウルグアイの戦い方はガッチリとかみ合う。ボールを動かしながら隙を窺ってタテパスを入れるチリと、それを潰してカウンターへ移行するウルグアイウルグアイの両CBは縦の潰しがめちゃくちゃ強いから、チリはSBの裏を突こうとしている。変態バルディビアのスルーパスがバンバン通る。
ただウルグアイは「結局中を固めれば大丈夫や」と言わんばかり。強固なブロックで中央への侵入を許さない。クロスが入ってきても、中央のサイズと強さで優位にあるから全て跳ね返せる計算。時折入る長いボールに対しても余裕の対応。
チリは寄せられる前にフィニッシュへ持っていきたい。そのため今日は、バルディビアの意外性が一際活きている。調子も良さそうだが、ファウルトラブルが怖いw

また、チリはネガティブトランジションがかなり速く、ファウルでもいいから止めようとしている。ウルグアイショートカウンターを相当警戒していることがわかる。こういう「主導権を握っている時もリスク管理をシビアに行う」ってのは、カウンターに弱い日本も見習うべき。

※ちなみに日本と中南米の「似ている」と言われるモデル(メキシコやチリ)の最大の違いは、体の使い方。みんな小さくても体を先に入れてファウルをもらう技術に長けている。なんのための「数的優位」かを理解している。数的優位はボールを繋いだり奪ったりするための有効な「手段」であり、それ自体は目的ではない。時には数的不利あるいは同数でも勝負する必要がある。中南米の国は「個」のベースが叩き込まれているから、そのあたりの判断が優れている。

チリはサイドを軸にポゼッションするけど、それはウルグアイも承知の上。そこからクロスが上がっても怖くない。ポイントはサイドからバイタルへ地上戦で繋げるか。ここがチリのパス&ムーブvsウルグアイの読み&寄せの真っ向勝負で面白い。

ジリジリとチリが圧力を強めていた中、まさかのカバーニ退場。2枚ともプレイと関係ない所でのカードだけにもったいない。まあカバーニは相当怒っていて、協会?の背広組にも講義していたけど。たしかにあれで退場は少し可哀想。
というわけで、ウルグアイは10人で自陣に引きこもる道を選ばざるを得なくなる。益々圧力を強めるチリ。
しかし、ここでコパの謎ルールがウルグアイに味方する。90分を終えて同点の場合は、延長戦をやらずに即PK戦に突入するらしい。一応「選手の疲労を蓄積しないため」というのが大義名分らしい。たしかにこの時期にこれだけハードな戦いは大変だが、どうせやるなら90分も120分も気持ち的には変わらん。普通に延長戦やらないとちゃんと勝負した感がない・・・。一説によると、前回大会で延長PKがあまりにも多かったからだとか。
ルールの善し悪しはさておき、ウルグアイカバーニ退場で戦い方がハッキリする。耐えて耐えてPK戦へ持っていく。これをさせたらウルグアイは無類の強さを誇る。

意思統一がハッキリされたこともあり、その後の10分間はウルグアイペースに。あわやの一撃が決まりそうになる。
チリは猛攻を仕掛けるが、正直厳しそう・・・。だが、そう思っていた83分にイスラのゴールで先制。山なりのクロスをGKのムスレラが飛び出して弾いたこぼれ球が、バイタルのバルディビアの足元へ。その横パスを受けたイスラがフリーで弾道の低いシュート。DFの股間を抜けて、飛び出していたムスレラの手も届かずゴールネットへ突き刺さった。ムスレラはミスをしたわけではないが、パンチングが中央へ流れてしまったのはいただけない。あとは一人少ないことで、こぼれ球への反応がどうしても遅れてしまった。チリはよくもぎ取ったね。

その後はウルグアイが9人になったこともあり、チリがいなして試合終了。審判とエキサイトしちゃうのは南米ならでは笑 ウルグアイタバレス監督も退席処分になっていたし。
ともかくチリは最大の山場を突破した。準決勝はペルーvsボリビアの勝者だから、多分勝てるはず。