メモ帳

千葉の田舎で生まれ、東京の出版社で働いている20代。ノンフィクションを中心に、読んだ本や観た映画についてのメモ代わりに書いています。

フットボール観戦記:ポルトVSバイエルン・ミュンヘン

 

あと2時間で2ndレグがキックオフということで、1stレグの振り返りを。

生放送ではPSG対バルセロナの方を見ていた。こちらの方が注目度は高いし、バイエルンはどうせ勝つからあとで適当に流そうか、くらいに考えていたからだ、(多分、同じような考えの人は多かったと思う)

前者の試合はいかにも今のバルサっぽい勝ち方だった。しかも次節はカンプ・ノウかと思うと、2ndレグへの楽しみが減って萎えてしまう。全く、今のバルサの試合を観ると感嘆とそれ以上の幻滅がない混ぜになった気持ちになる。

 

そんな気分の中で観たので、当然期待は薄かった。「開始10分でつまらなかったら後半に飛ばそう」と思ってたくらいだ。

ところが、である。ポルトが開始わずか4分で先制してしまった。さらに15分にも追加点。バイエルンとしては、2点とも絵にかいたような取られ方である。ポルトも、プレスがハマるまでは計算通りでも、ビッグチャンスがいずれも点に繋がるとは良い意味で期待を裏切られたに違いない。

最終的には3-1でポルトの勝利。集中力がやや途切れて1失点したことが、後々悔やまれなければよいのだが…。

 

さて、バイエルンはなぜ負けたのか?

ドリブラーの不在

これはコンディション不足とも言い換えられる。選手の欠場はどのチームにとっても痛いが、選手層の厚いバイエルンでもそれは変わらない。誰がいないのがキツかったって、当たり前だがロッベンリベリー。パスサッカーにおいて、緩急をつけるための「ドリブラー」が必須なことが再確認された。バルセロナ革命以降、全体の守備レベルも上がっているからパスだけで崩すのは最早不可能である。(しかもバイエルンのパスレベルは高いとはいえ、全盛期のバルサには見劣りする。かつ、そこまでパスの崩しにこだわらず早めにクロスなどを入れる攻め方も増えている。)

スラムダンク』で山王戦の流川がドリブル一辺倒からパスに目覚めて覚醒したのの反対で、ドリブルをちらつかせるから相手の対応が後手になってパスが生きるし、逆もまた然りである。そういう意味で、ドリブラー不在のバイエルンに「怖さ」はなかった。(ラームやチアゴはボールを「運ぶ」のはうまいが、「抜く」ことに関してはやはりロッベリーの方が上である。というか、この2人は世界で5本の指に入る。)

はっきり言って、もしロッベリーが万全だったらこのスコアはなかっただろう。ポルトはもちろん良く戦ったが、彼らが揃って欠場というかなりの幸運に恵まれていたことは間違いない。2ndレグも出場が微妙(多分厳しい)らしいから、ポルトには風が吹いている。

②CBの穴

これは、どれだけ強いチームでも仕方ない。というかフットボールが人間によるスポーツである以上、誰でもミスはする。CBの場合はたった1つのミスが致命傷となるし、それを自覚すればするほどメンタルの弱い選手はプレッシャーを感じてしまう。これは経験者なら誰でもわかると思うが、上手下手に関係なく「ポカをしてしまいがち」な人はいる。CBには、一にも二にも安定感が大事なのである。

このことを頭に入れた上で、この試合のバイエルンのCBのプレイをチェックする。ダンテは本当にひどくて、もう見ていられなかった。W杯のドイツ戦を引きずっているらしいが、もう1年近くたつのだしプロ選手だからそこを切り替えられないようではアウトだ。正直ボアテングも、ダンテのミスに引きずられた部分はあるだろう。浮き球の目測を誤るなんて、最もしてはいけないミスなのは言うまでもないが。

ダンテはもう、バイエルンではやっていけないんじゃない?ポカが多いのはこの試合に限ったことではない。今後、バイエルン対策として「ダンテを狙ってプレスをかける」戦術は主流になるだろう。バックアッパーとしても、あのレベルじゃなあ・・・

バイエルンはおそらく、このオフに超一流のCBを獲得しようとするのではないだろうか。それこそチアゴ・シウバとか喉から手が出るほど欲しいのでは。5年前までなら不可能だったが、今のブランド力ならそこまで非現実的ではない。

 

一方、ポルトはこんなに良い試合できるのか!って感じ。CLの試合はいくつか見ていたのだけど、組合せ上「ボールを奪う側」に周ることが少なかったからこの戦い方は新鮮だった。特に「ハリーポッター」ことクァレスマは、もう10年早くそのハードワークができていたらビッグクラブでも活躍できたろうに・・・ってくらい献身的だった。足元のうまさは相変わらずだったが、それを使うタイミングをしっかりと理解できるようになっている辺りに「ああ、クァレスマもベテランになったんだなあ」と感慨深くなってしまった。ジャクソン・マルティネスも病み上がりにしては良く動けていたし、ボランチのカジミーロはシティのフェルナンジーニョのような強さと巧さを感じさせた。多分こいつはビッグクラブにいくはず。と思ったら既にレアルが抱えているのね。。。

 

さて、2ndレグはどうなるのだろうか。心情的にはポルトに勝ちぬけてほしい。だが今後の楽しみを考えると、バイエルンが勝ちぬけた方が準決勝のカードは魅力的になるのが正直なところである。

ポイントは、ポルトの守備だろう。はたして1stレグと同様に前から奪いに行くのか。バイエルンは対策をしてきているはずだから、二の手三の手を出すことができるのか。ロペテギ監督の知略が問われている。