メモ帳

千葉の田舎で生まれ、東京の出版社で働いている20代。ノンフィクションを中心に、読んだ本や観た映画についてのメモ代わりに書いています。

映画の感想:ブギーナイツ

 

PTA(学校のアレじゃないよ)ことポール・トーマス・アンダーソンがその名を知らしめた作品。『インヒアレント・ヴァイス』を先に観ていたせいか、撮り方や台詞回しでニヤニヤするシーンが多かった。

 

やはりPTAはテンポの良さが素晴らしい。観ていてストレスがない。シーンの移り変わりなどもぎこちなさが全くなく、極めてスムーズである。

テンポの良さとも通ずるのだが、軽いタッチが特徴的でもある。特に、死のあっけなさ。こういうもったいぶらない殺し方・死に方が好きである。暴力とは唐突に至ることが一つの特徴だと個人的に思っているのだが、PTAはそれを良く理解している。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のラストシーンにも言えることだが、彼はこういう「喜劇的」な撮り方が抜群にうまい。

また、脚本を自分で書いているのにも好感を持てる。個人的に脚本も自分で書く監督はシンガソーングライター>歌手みたいな感じでちょっと上に観てしまう。(別に監督の役割を否定するわけではないし、自分が脚本の立場で作品を観てしまう癖があるのは承知しているが。)

ストーリーは意外性と普遍性を兼ね備えている。ポルノ産業という少々トリッキーなテーマだからこそ、良い意味で普通のストーリーが光る。群像劇とそれぞれの起承転結がバランスよく丁寧に描かれている。一周周って再スタート、という終わり方などは完全に王道映画のそれである。

 

あと、PTAは映像と音楽がおしゃれ。そりゃ映画監督なのだから映像がおしゃれって当然だろ!ってのはその通りなのだが、いちいちオシャレというか、やりすぎない程度に捻りが利いている、ような気がする。雰囲気って大事だよね(笑)